パセリは、セリの仲間の緑黄色野菜で、世界的にポピュラーに使われているハーブの1つです。セリ科オランダゼリ属の植物で、実はとても古い歴史を持っています。原産地はヨーロッパ中南部からアフリカ北部の、地中海沿岸と考えられています。

その歴史は、古代エジプトや古代ギリシャの時代から食用のみならず薬用や口腔衛生のためにも使われてきたことが分かっています。そんな太古の時代から、日本から遠く離れた場所ですでにその爽やかな香りが認められていたのですね。

そこから、まずヨーロッパ、北アメリカにも渡り、日本にパセリが入ってきたのは18世紀になってからのことです。「セリ科オランダゼリ属」の名のとおり、オランダから長崎の出島に持ち込まれました。

しかし、本格的に栽培され始めたのは明治以降のことでした。しかも、メインに食されることはなく、やはり当時から料理の添え物としての存在だったようです。

パセリにはいくつかの種類があります。そのうち、日本で手軽に食べることができるのは、「モスカールドパセリ」と「イタリアンパセリ」の2種類です。

葉が細かく縮れているパセリ。
料理の彩りとして使われることが多く、一番よく見かける種類です。

縮れのない大きめの葉のパセリです。味はモスカールドパセリと変わりません。サラダやスープなどに散らして食べることが多いです。

他にも、ハンブルクパセリという根を食べる種類やナポリタンパセリがありますが、今のところ日本では見かけることは少ないようです。

パセリには多くの栄養素が含まれています。代表的なものは、皮膚や粘膜の健康維持や免疫力を高めるβカロテン、アピオールという精油成分、カルシウムを骨に定着させてくれるビタミンK、強い抗酸化作用のあるビタミンE、貧血予防の鉄分やカリウム、風邪予防のビタミンCなどで、緑黄色野菜の中でもトップクラスと言われる栄養の持ち主です。さらに、アピオールという物質や葉緑素には、口臭を抑える効能もあります。

そして、ビタミンE・Cや鉄分は野菜の中でも上位にあげられる含有量です。単なる添え物だと思っていたパセリはこれほどまでの栄養が詰まっていたのです。

パセリを食べると口の中に広がるあの独特の香りは、アピオールなどの精油成分です。この香りがダメだという人も多くいるはずです。しかし、この香りの成分には様々な効果の秘密があるのです。

まず、腸内の悪玉菌を退治してくれますので、食中毒予防や食欲増進につながるといわれています。この食中毒を予防する働きがある為、 料理によく添えられるようになったようです。

そして口内の雑菌の繁殖も抑えてくれますので、口臭予防にも効果的です。パセリの色素である葉緑素にも消臭効果がありますので、口臭が気になる方は食事の最後にパセリをよく噛むといいでしょう。臭いの強いものや脂っこいものを食べた後なども口の中をサッパリさせてくれるのでお口直しになります。

生活習慣病とは、動脈硬化・高血圧・脳梗塞・糖尿病などの病気の事です。これらの病気の主な原因の一つが活性酸素による血管や細胞の酸化です。パセリに含まれるβカロテンは、この活性酸素を除去する働きがあります。βカロテンは血中の酸化を防いで血管を健康に保ってくれるため、動脈硬化の予防に効果があるといわれています。

また、パセリの葉緑素であるクロロフィルは強い抗酸化作用を持っており、血中悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やしてくれるそうです。これにより血液はサラサラになると言われています。パセリにはカリウムも含まれています。カリウムは余分なナトリウムや水分を体外に排出する働きをし、血圧を下げ高血圧を予防する効果があると考えられています。

そしてビタミンCはクロロフィル同様に抗酸化作用があるので、血管や細胞の酸化を防ぐ働きにも期待ができます。パセリの中の様々な成分が生活習慣病予防につながるのです。